【介護士必読】共同親権が施行されて現場はどう変わる?特養10年目の私が福祉現場の視点でざっくり解説します

「共同親権って、介護施設には関係ない話でしょ?」

正直、最初はそう思っていました。でも調べれば調べるほど、これって福祉現場にとってもひとごとじゃないと気づいたんです。特に児童養護施設や障害者支援施設、そして特養でも「子どもがいる利用者の家族対応」という観点では、無関係とは言い切れません。

室岡

私は特別養護老人ホーム(特養)で介護士として働いています。毎日の業務に追われながらも、こういう制度の変化には常にアンテナを張るようにしています。なぜなら、知らないまま現場に影響が出てからでは遅いからです。

今回は、2025年4月から施行された「共同親権制度」について、福祉現場の目線でざっくりわかりやすく解説します。難しい法律の話は苦手という方も、このブログを読み終えるころには「なるほど、そういうことか」と思っていただけるはずです。

この記事を読めば、こんなことがわかります👇

ざっくり解説:この記事で分かる事
  • 共同親権制度とは何か(2026年4月施行)
  • 教育・医療・児童福祉施設への具体的な影響
  • 特養・介護施設への影響と注意点
  • 現場の介護士として今すぐできる3つのこと

目次

1. そもそも「共同親権」って何?制度の背景と概要

まず基本のところから整理しましょう。

離婚件数の現状から見えてくること

厚生労働省が公表したデータによると、2024年の離婚件数は18万5,895件でした。2002年のピーク時には約29万件だったので、数としては減ってきてはいます。ただそれでも、毎日日本のどこかで500件以上の離婚が成立している計算になります(18万5,895件 ÷ 365日 ≒ 509件/日)。

離婚によって、子どもは父親か母親、どちらか一方と暮らすことを余儀なくされます。

室岡

子どもの成長や生活の安定に影響が出ることは、誰もが感じていることではないでしょうか。

民法改正で何が変わったのか

2024年5月、「子どもの利益を守るため、離婚後も父母の両方に親権を認める」という内容の民法改正が成立しました。そして2025年4月から正式に施行されています。

これまでの日本の制度では、離婚後は父母どちらか一方だけが「単独親権(たんどくしんけん)」=子どもに関する決定権を持つ仕組みでした。でも今回の改正で、離婚後も父母の両方が共同で親権を持てるようになったのです。

「子どもの利益を守る」という目的自体は、誰も反対できない大切なことです。

室岡

でも問題は、現場の実務がそれに追いついているかどうか、というところにあります。

2. 現場への具体的な影響——他業種の話だけじゃない

まずは教育・医療・児童福祉から影響が出る

この制度が最もダイレクトに影響するのは、子どもが直接関わる現場です。

  • 学校・教育機関:進学先や転校の決定に、父母双方の同意が必要になる場面が生じます。
  • 医療機関:手術や治療方針の決定で父母の意見が対立した場合、医療側が板挟みになるリスクがあります。
  • 児童養護施設(じどうようごしせつ):子どもを施設に入所・退所させる際に、父母双方の同意が必要になるケースが出てきます。これが現場にとって最大の懸念点です。

福祉新聞Webに掲載されたコラムの中で、新島学園短期大学の草間吉夫教授は「かつて自分が勤務した児童養護施設でも、入退所時に双方の同意が求められるため、現場は戦々恐々(せんせんきょうきょう)=非常に不安な状態としている」と述べています。

また、訴訟(そしょう)リスク=裁判に巻き込まれる可能性についても言及されています。教育機関・福祉施設・医療機関の広範囲にわたって、法的トラブルに巻き込まれる可能性が生まれたということです。

特養・介護施設への影響はどうなのか?

「うちの施設は高齢者の特養だから関係ないでしょ」と思いたいところですが、少し待ってください。

特養の利用者の中には、離婚した子どもを持つ高齢者もいます。たとえば、こんなケースが考えられます。

  • 利用者の家族(離婚した息子・娘)が施設の手続きや意思決定に関わる場面
  • 利用者の孫にあたる子どもが面会や行事に来るときの対応
  • 利用者自身が認知症で判断能力が低下しており、成年後見人(せいねんこうけんにん)=法律的に本人の代わりに手続きをする人がいるケース

直接的な影響は今のところ限定的かもしれません。ただ、制度が変わった直後は「こういう場合はどうすればいい?」という判断が曖昧になりやすい時期です。

室岡

情報を持っていることが、冷静に対応するための武器になります。

業務量と精神的負担の増加という現実

草間教授のコラムの中で、もうひとつ重要な指摘があります。それは「慎重な対応が求められることで、精神的な負担と業務量が増える」ということです。

室岡

これ、すごくリアルな話だと思いませんか?

私たち介護士は今でも書類仕事や連絡調整が多い。そこにさらに「父母双方の同意確認」や「記録の整備」が加わると、現場の負担は確実に増えます。1件の手続きにかかる時間が30分から1時間以上になることだってあり得ます。

しかも、対応ミスが訴訟につながるリスクがある以上、「なんとなくこれでいいかな」という曖昧な判断では済まされない時代になってきています。

3. よくある疑問・現場での注意点

Q. 施設にガイドラインはあるの?

正直なところ、2025年4月時点では、多くの施設でまだ明確なガイドラインが整備されていないのが現状です。

コラムの中でも「当該機関(かくきかん)=各施設・学校・医療機関はガイドラインやマニュアル、あるいは対応策を強く求めているのが本音」と述べられています。

つまり、現場の最前線にいる私たちが「何か変だな」「この場合どうすればいい?」と気づいたら、すぐに上長や施設長に報告・相談することが大切です。自分一人で抱え込まないようにしましょう。

Q. 国は何か対応策を出しているの?

草間教授のコラムでは、以下のような対応が国に求められると提言されています。

  1. 厚生労働省・法務省・文部科学省が連携して、対応事例(たいおうじれい)=実際に起きたケースとその解決例を集める
  2. 対応の良し悪しを検証したエビデンス(証拠・根拠となるデータ)をデータベース化する
  3. 国と各機関がそのデータを共有する

これらが実現すれば、現場が判断に迷ったとき「こういうケースでは、こう対応した」という参考事例を見ることができるようになります。現場の負担が明らかに減ると期待されています。

ただ、制度が先に走って現場がついていけていない状況は、介護業界ではよくあることですよね。加算の仕組みが変わったとき、記録の様式が変わったとき……毎回「何これ、聞いてないよ!」ってなる経験、みなさんにも身に覚えがあるのではないでしょうか。今回もまさに、同じ状況です。

Q. DVや虐待のケースはどうなるの?

共同親権が施行されると、DV(家庭内暴力)や虐待のあるケースでも、加害者側の親が「親権者(しんけんしゃ)」として関わってくる可能性があるのでは?という懸念です。

民法改正では「子どもの利益に反する場合は単独親権にできる」という規定も設けられています。ただ、判断するのは最終的に家庭裁判所(かていさいばんしょ)です。現場の施設や医療機関が独自に判断できる話ではありません。

万が一、利用者家族の中でこのようなケースに直面した場合は、絶対に現場だけで解決しようとせず、施設の管理者・相談員・社会福祉士(しゃかいふくしし)=専門的な相談支援を行う資格者に報告してください。これは鉄則です。

Q. 特養として今すぐやるべきことはある?

今の時点で現場の介護士としてできることは、以下の3つだと思っています。

  1. 「共同親権という制度が2025年4月から始まった」ということを知っておく(知識として頭に入れておくだけでも違います)
  2. 利用者家族に関する情報(離婚・親権の状況など)が変化していないか、ケアマネや相談員と情報共有する習慣をつける
  3. 「これ、どう対応したらいいんだろう?」と思ったら、自分で抱え込まずに上に相談する

特に3つ目は、本当に大事です。現場の介護士が法律の専門家である必要はまったくありません。ただ、「なんか変だな」「確認が必要かも」というアンテナを立てておくことが、トラブルを未然に防ぐ一番の方法です。

4. 福祉現場全体で考えるべきこと——子どものウェルビーイングを守るために

コラムの中で草間教授が何度も強調しているキーワードが「ウェルビーイング(well-being)」です。これは「単に病気や問題がないというだけでなく、身体的・精神的・社会的にすべてが良好な状態」を指す言葉です。最近は介護や福祉の分野でもよく使われるようになってきました。

共同親権の目的は、あくまで「子どものウェルビーイングを守ること」にあります。ところが、現場が手続きや訴訟リスクへの対応に追われてしまうと、本来守るべき子どもへの支援の質が下がってしまうという皮肉な状況が生まれかねません。

草間教授はその解決策として「国が対応事例をデータベース化して共有すること」を提言しています。つまり、現場だけが頑張るのではなく、国が責任を持って情報を整備し、現場の負担を減らす仕組みを作るべきだということです。

室岡

これって、介護業界全体が長年訴えてきていることと同じだと思いませんか。介護報酬の仕組み、人員配置の問題、記録の電子化……すべて「現場が大変なのに、国の対応が追いついていない」という問題です。

私たち介護士は制度を変える立場にはないかもしれません。でも、制度の変化を知って、正しく対応することはできます。

5. まとめ——知っておくことが、守ることにつながる

今回の共同親権制度について、改めてポイントを整理します。

  • 2024年5月に民法改正が成立し、2025年4月から施行。離婚後も父母双方に親権が認められる制度になった。
  • 2024年の離婚件数は18万5,895件。毎日約509件の離婚が成立している現実がある。
  • 教育・医療・児童福祉施設など、広範囲の現場に影響が及ぶ。特養でも無関係とは言えない。
  • 現場ではガイドラインやマニュアルの整備が急務だが、まだ追いついていない施設が多いのが現実。
  • 国が対応事例を集めてデータベース化・共有することが、現場の負担軽減につながると専門家が提言。
  • 現場の介護士としては「制度が変わったと知っておくこと」「変だと思ったら報告・相談すること」が最低限大事。

「法律の話なんて難しくてよくわからない」という気持ち、すごくよくわかります。私も最初はそうでした。でも10年間この仕事を続けてきて思うのは、制度の変化は必ずどこかで現場に届くということです。

今日ここで読んでくれたあなたは、もう「共同親権」という言葉と、その大まかな内容を知っています。それだけで、何も知らないよりずっと現場での判断が冷静になれるはずです。

室岡

難しいことを難しいまま放置しない。それがこのブログの使命です。

知って、トクしよう。


【出典】
福祉新聞Web「共同親権対応事例の共有を〈コラム一草一味〉」
https://fukushishimbun.com

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この記事を書いた人

「結局、給料いくら上がるの?」に答える介護士向け情報ブログ。厚労省の発表や制度改定を現場10年目がざっくり翻訳。知るだけでトクする介護情報を毎日更新中。

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