日本看護協会が2025年に実施し2026年3月に公表した「看護職員就業状況等実態調査」の結果によると、今後も看護職として働き続けたいと思う割合が62.9%(前回2021年調査から4.7ポイント低下)にとどまったという事です。出典(日本看護協会「看護職員就業状況等実態調査」)
日々の現場で一緒に働く看護師さんとの連携は、私たち介護士にとってなくてはならないもの。でも今、その看護師さんたちの間で「もう看護職を続けたくない」という声が静かに広がっています。
「それって看護師さんの話でしょ?」と思ったあなた、ちょっと待ってください。これは私たち介護士にとっても、決して人ごとではない話です。
室岡今回は特養10年目の介護士である私・室岡が、この調査結果を読み解きながら、現場への影響をできるだけわかりやすくお伝えします。


そもそも今回の調査、どんな内容だったの?


日本看護協会の「看護職員就業状況等実態調査」とは
日本看護協会は、全国の看護師・准看護師・保健師・助産師などいわゆる「看護職」の働き方や意識を定期的に調査しています。今回公表されたのは2025年実施の最新版の結果で、現場の生の声が数字になったものです。
「続けたい」が約6割──これって多い?少ない?
「とてもそう思う」「ややそう思う」を合わせると62.9%。前回2021年の調査から4.7ポイント低下しています。
一見すると「6割以上いるんだから大丈夫じゃないの?」と思うかもしれません。でも逆に言えば、約37%、つまりおおよそ3人に1人以上の看護師が「続けたいと思えていない」ということになります。
日本看護協会はこの結果を受けて「現場離れの懸念が高まっている」とコメントしています。協会自身がこういった表現を使うのは、かなり深刻なシグナルと受け取っていいと思います。
なぜ「続けたい」が減っているのか
- 慢性的な人手不足による疲弊:1人の看護師が担当する業務量が増え続けている
- 夜勤・オンコール(夜間に呼び出されること)の負担:特に施設系では夜間対応が看護師1人にのしかかることも多い
- 医療と介護の連携の難しさ:役割の境界線があいまいで、どこまでやるべきか悩む場面も多い
- 給与への不満:責任の重さに賃金が見合っていないという声は根強い
- コロナ禍の後遺症:2020年〜2023年にかけての激務が、じわじわとメンタルを削り続けた



これらはすべて、私たち介護士が「あ〜わかる」と思う要因ばかりです。看護師さんも、私たちと同じように消耗しているのです。
現場への具体的な影響──介護士はどう備える?


看護師が辞めると施設はどうなるのか
特養(特別養護老人ホーム)には、施設の規模に応じて一定数の看護師を配置することが法律で定められています。入居者100人に対して最低でも3人以上の看護師配置が基準とされています(常勤換算)。
この基準を満たせなくなると、場合によっては加算(介護報酬の上乗せ部分)が取れなくなることがあります。加算が取れないということは、施設の収入が減るということ。それが職員全体の待遇に影響することもあり得ます。
数字で見る看護師不足の深刻さ
私の施設でも実際に、2年間で看護師が3人辞めた時期がありました。その間、夜間対応の取り決めを変えたり、介護士だけで判断しなければならない場面が増えたりして、正直しんどかったです。あの経験があるから、今回のニュースは他人事に感じられないんです。



看護師が1人減るだけで、現場の空気が変わります。「あの人がいなかったらどうしよう」という不安を感じたことがある方、きっと多いはずです。
介護士と看護師の「チームワーク」が崩れると何が起きるか
私が10年間現場にいて実感するのは、看護師と介護士の連携が崩れると、一番しわ寄せを受けるのは利用者さまであるということです。
看護師が疲弊して余裕をなくすと、報告・連絡・相談のサイクルが回りにくくなります。お互いに「忙しそうだから声をかけにくい」という雰囲気が生まれてしまう。それは、チーム全体にとってもリスクです。



「報・連・相」って介護の基本ですが、これができる環境を守ることも私たちの仕事だと思っています。
よくある疑問・注意点


Q. 「看護師不足」は今に始まった話じゃないよね?
でも、今回の調査が注目されるのは、「続けたいと思わない」という意識の問題が数字として出てきた点にあります。身体的な疲労は休めば回復することもあります。でも「もうこの仕事を続けたくない」という気持ちになったとき、人はなかなか戻ってきません。
Q. 介護士には直接関係ない?
- バイタルサイン(血圧・体温・脈拍など)の確認
- 判断
- 与薬(薬の管理と服薬介助の指示)
- 医師との連絡・調整
- 急変時の初期対応
- 褥瘡や傷の処置
- 介護士へのケアの指示
これらが機能しなくなると、介護士が対応に迷う場面が増えるのは明らかです。


Q. 私たち介護士にできることはあるの?
・報告・連絡のタイミングを意識して、必要な情報をきちんと伝える
・積極的に声をかける
・看護師の仕事内容・判断の根拠に関心を持つ
・感謝の言葉を伝える(これ意外と大事です)



「ありがとうございます」のひと言が、職場の空気を変えることがあります。難しいことじゃないので、ぜひ今日から。
Q. 施設側は何かしなくていいの?
「看護師が辞めても補充すればいい」という考え方はもう通用しません。今いる看護師さんが「辞めたくない」と思える環境づくりが急務です。現場の私たちにできることは、管理者へ「今こんなに看護師が頑張ってくれている」と具体的に伝えることです。現場の声は、経営判断に影響します。
まとめ──仲間が減る前に、知っておこう


今回のニュースをまとめます。
- 日本看護協会の最新調査で、看護職として「働き続けたい」と答えた割合が62.9%にとどまった
- 裏を返せば、約37%(3人に1人以上)が「続けたいと思えていない」
- 看護師が現場を離れると、介護施設の運営・利用者ケアの質・介護士の負担に直接影響する
- 私たち介護士にできることは、看護師との関係づくりと、施設への積極的な働きかけ
「自分は介護士だから看護師のことは関係ない」と思っていると、気づいたときには現場が崩れていた、ということになりかねません。
チームケアの現場では、誰か1人の不調が全体に波及します。だからこそ、お互いの状況を知っておくことが大切です。
特養10年目の私が言えるのは、「現場は人でできている」ということ。看護師さんも、介護士も、ケアマネさんも、みんながギリギリで回している今の介護現場を少しでも良くするためには、まず知ることから始まります。
今日も読んでくれてありがとうございました。
知って、トクしよう。
【出典】 日本看護協会「看護職員就業状況等実態調査」(2025年実施・2026年3月公表) 報道:Joint編集部 URL:https://www.joint-kaigo.com/








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